11.2 デジタル時代にクオリティーの高い教育を行うための9つのステップ

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Figure 11.2 Nine steps to quality teaching Image: © http://kennedysdisease.blogspot.ca/
図11.2 クオリティーの高い教育を行う9つのステップ
画像: © http://kennedysdisease.blogspot.ca/

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前のセクションでは、多くの素晴らしい質保証の基準、認定団体、オンラインで入手できる質保証に関する論文 が既に存在することを指摘したので、もう繰り返しません。ここではこれらの基準を実行するための実践的な一連のステップについて提案しましょう。

既に通常の教育機関では新規に設置される専攻プログラムを承認するために、基準にしたがって行う質保証のプロセスを取り入れていることでしょう。しかし計画の最終案を提案する前に、以下の9つのステップを検討してみる価値もあるのではないでしょうか。私の提案するステップは既存のコースを設計し直す時にも利用できます。

完全オンライン・コースを開発するために用いられる「標準的」な質保証のプロセスでは、例えば ADDIE モデル(セクション4.3参照)のような手法に基づいて、体系的にコースを設計します。Puzziferro and Shelton (2008) は良い事例です。しかしこの9つのステップは、いわゆる「標準的」な手法とは異なります。このことを理解してもらうために、ADDIE モデルはステップ6あたりまでは扱いません。

変わりやすく不確実で、複雑かつ曖昧なデジタル時代において、体系的なアプローチには限界があるということは既に指摘しました。(セクション4.7) いずれにせよ私たちには完全オンライン・コースだけではなく、対面、ブレンド型、ハイブリッド型のコースやプログラムにも利用できるプロセスが必要なのです。そこで私が目指しているのは、様々な配信方法に対応できる、より柔軟でありながらも依然として体系的かつクオリティーの高いコースを設計するためのアプローチです。また、コースで行われている実際の教育を観察するだけでは十分ではなく、学習が行われる完全な学習環境の構築についても検討していく必要があります。(付録A参照)

クオリティーの高い枠組みを提供するための9つのステップを以下に示します。これらのステップは順番に行われることもありますが、同時に行われることの方が多いでしょう。ですが、順番には一貫性があります。

  1. ステップ1:どのように教えたいかを決める
  2. ステップ2:情報の配信方法を決める
  3. ステップ3:チームで作業する
  4. ステップ4:既存のリソースを活用してコースを作る
  5. ステップ5:テクノロジーをマスターする
  6. ステップ6:適切な学習目標を設定する
  7. ステップ7:コースの構成と学習活動をデザインする
  8. ステップ8:お互いの意思疎通を図る
  9. ステップ9:評価し改善する

これらのステップの中では、今まで本書で触れてきた内容についても扱います。

参考文献

Puzziferro, M., & Shelton, K. (2008). A model for developing high-quality online courses: Integrating a systems approach with learning theory Journal of Asynchronous Learning Networks, Vol. 12, Nos. 3-4

ライセンス

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Copyright © 2020 『日本語版』, 2015 Anthony William (Tony) Batesの「デジタル時代の教育」は、特に断りのない限り、クリエイティブ・コモンズ 表示-非営利 4.0 国際 ライセンスに規定される著作権利用許諾条件。

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