5.3 様々な MOOC の設計

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Figure 5.3 There are many variations of the basic MOOC designs Image: © Dairy Cattle, India, 2014© Dairy Cattle, India, 2014
図5.3 MOOCの基本的な設計には様々なバリエーションが存在する
画像 © Dairy Cattle, India, 2014© Dairy Cattle, India, 2014
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本節では、主な MOOC の設計について分析します。ただ、MOOCs は比較的新しい事象であり、設計モデルは常に進化し続けています。

5.3.1 xMOOCs とは

MOOCs はもともとスタンフォード大学の教授らによって、その後しばらくして MIT やハーバード大学の教員によって開発が進められましたが、非常に行動主義的であり、情報伝達モデル的です。すなわち中核となる教育は短い講義を録画したオンライン動画で行われ、コンピュータによって自動採点試験が組み合わされ、時には相互評価も用いられます。このような MOOCs は、Coursera や Udacity、edX のようにクラウドを基盤とする専用のソフトウェア・プラットフォーム上に構築されています。

xMOOCs とは、Coursera や Udacity、edX によって開発された講座を指す用語として Stephen Downes (2012) が提唱した造語です。本稿執筆時点(2015年)では、xMOOCs は最も一般的な MOOC です。xMOOCs では教員は講座の設計に大きな自由度を持っているため、細かい点を挙げていくと多種多様です。しかし、一般には xMOOCs には次のような共通の設計上の特徴があります。

5.3.1.1 専用に設計されたプラットフォーム用ソフトウェア

xMOOCs は専用に設計されたプラットフォーム用ソフトウェアを用いています。これにより大規模人数での参加者の登録、デジタル教材の保存、オンデマンドでの教材配信が可能になるほか、評価や受講生の取り組みの追跡が自動化できます。そしてソフトウェアを提供している企業が受講生のデータを収集し、分析することもできます。

5.3.1.2 動画講義

xMOOCs はオンライン配信されているということ以外は標準的な講義形式を採用しています。すなわち録画された動画講義を受講生がオンデマンドでダウンロードするのです。動画講義は通常10〜13週間にわたって毎週更新されます。初期の頃は50分講義だったのですが、経験が蓄積された結果、より短い再生時間(時には15分ほど)の動画を用いる xMOOC もあり、動画の区切りが多くなる傾向があります。同様に xMOOC で提供される講座の長さそのものが短くなりつつあり、中にはわずか5週間で終わるものも出てきました。動画制作の手法も様々です。大学での対面式の講義を録画して蓄積したものをオンデマンド配信するという講義録画型から、スタジオでの本格的な撮影を行うもの、授業を行なっているパソコンのデスクトップを教員自身が再生しながら録画するようなものまで様々です。

5.3.1.3 コンピュータによる課題の自動採点

受講生はオンライン上のテストを終えるとすぐに自動フィードバックを受け取ります。このようなテストは通常、講座期間中であれば常に受験できる状態にありますが、単に受講者へのフィードバックのためだけに使われる場合もあります。これは成績優秀者のための賞を決めるためかもしれません。あるいは講座の最後でオンライン試験として実施され、これに基づいてその講座の最終成績や修了証の発行のために使われることもあります。ほとんどの xMOOC 上の課題は多肢選択式の自動採点問題ですが、コンピュータ科学の講座ではプログラミングの一部や、数学の公式を扱うような場合もあり、回答にテキストや公式の入力を求めたり、ごくまれにですが短文回答を受講生に求めたりもします。そしてこのような問題もコンピュータが自動採点します。

5.3.1.4 相互評価

xMOOCs の中には実験的に受講生をランダムに小集団に振り分け、相互評価させる手法を試している事例もあります。特に回答形式が自由な問題や価値判断が問われるような課題でこのような手法が使われます。ですが、この方法はうまくいかないことが多いです。というのも、小集団に属するメンバー間で習熟度に差があったり、講座への関わり方において参加者に様々なレベルがあるからです。

5.3.1.5 補助教材

場合によっては、スライドのコピーや補助的な音声ファイル、他の素材へのURL、オンライン上の論文などが受講者に提供されることがあります。

5.3.1.6 意見の共有や議論のための場所

受講者たちが質問を投稿したり、手助けを求めたり、講座の内容について意見したりするための場所が備わっています。

5.3.1.7 議論の管理は全く存在しない、あるいはほんの少ししかない

議論や意見がどれくらい管理されるかは、おそらく xMOOCs に備わった他のどの特徴よりも多種多様です。たとえ管理なるものが存在したとしても、それは受講者全体に向けられており、参加者の一人一人を対象としているわけではありません。膨大な数の参加者が受講して意見を書き込むわけですから、 MOOC 講座を実施している教員(たち)による個々の意見の管理は、事例がないわけではありませんが、ほぼ不可能です。教員の中には質問や意見に全く返信しない人もいますので、そのような場合には参加者は他の参加者の反応に頼らざるを得ません。また、教員の中には意見や質問の中から「お手本」を取り上げ、それらに対する返信を投稿する人もいます。中にはボランティアや有給のティーチング・アシスタント (TA) に依頼して、受講者の多くが共有している関心事を洗い出してもらい、教員や TA が対応するという場合もあります。しかしほとんどの場合は受講者同士がお互いに意見し合ったり、質問に回答し合ったりしています。

5.3.1.8 認定バッジや修了証

xMOOCs では、コンピュータによる最終試験の成績に基づいて講座を優等な成績で修了したとみなすと、何らかの顕彰を行うのが通例となっています。しかし本稿執筆時点では MOOC が発行するバッジや修了証は、MOOC 講座を提供している教育機関によってすら、正規の授業単位や入学用途としては用いられていません。これは MOOC の講義がキャンパスに通う学生に対して行われる内容と同じであっても同様です。そして、このような MOOC の修了証明が雇用主に受け入れられたという記録もありません。

 5.3.1.9 学習分析

xMOOCs の学習分析に関して出版された情報は、本稿執筆時点ではそれほど多くありませんが、 xMOOC のプラットフォームには受講者とその成果である「ビッグデータ」を収集し、分析する機能が備わっています。これにより少なくとも理論上では、教材や設計において改善しなければならない箇所や、受講生に対して自動的にヒントを表示すべき箇所を、教員はすぐに知ることができます。

そのため xMOOCs は高品質な教材を配信し、主に受講生へのフィードバックのためコンピュータによる自動評価を行い、受講生と学習プラットフォームのあいだに生じるあらゆる主要なやり取りを自動化するという、情報伝達モデルに重点を置いた教授モデルを主に採用しています。受講生個人と講座の責任者である教員との間では直接的なやり取りはほとんど行われませんし、教員は受講生たちのコメントに対してある程度の一般的な回答を寄せる程度です。

5.3.2 cMOOCs

最初の cMOOCs は2008年にカナダのマニトバ大学で開講された、講座に関わる3人の教員によって始められました。cMOOCs はネットワーク上での学習に基づいており、受講者たちはソーシャル・メディアを利用し、他の受講生たちとのやり取りや議論に参加しながら学習を進めます。cMOOCs には標準的なプラットフォームはありません。Web放送や受講者のブログ、ツイート、ハッシュ・タグで同じトピックをブログとツイートで共有できるソフトウェア、オンラインのディスカッション・フォーラムの組み合わせによって cMOOCs が構成されます。cMOOCs を起ち上げて自ら参加する専門家もいますが、受講者たちの興味関心や貢献によって成り立っているものがほとんどです。そして一般的には、公的な成績評価は行われません。

cMOOCs と xMOOCs は全く異なる教育理念に基盤を置いています。cMOOCs では繋がりを持つこと、とりわけ受講者たちが講座の内容に深く関わることに重きを置いています。公式には教員が存在しないこともありますが、「ゲスト」として招かれた教員が、その講座のためにWeb放送やブログ執筆を行うことはあります。

5.3.2.1 主要な設計原理

cMOOCs の主要な設計原理について、Downes (2014) は次の4つを指摘しています。

  • 学習者の自律性:学習者がどのような内容を学習したいか、どのようなスキルを身につけたいかという点で、学習とは個人的なものである。ゆえに cMOOCs に公式のカリキュラムは存在しない。ただし、誰であれ MOOC を運営する者は通常、主なテーマを選んで参加者を募るのだが。
  • 多様性:利用されるツール、参加者の層と知識レベルの幅、内容が様々であるという観点。
  • 双方向性:協調学習、参加者間のコミュニケーションによって知識の創出に繋がるという観点。
  • オープン性:アクセス、内容、活動、評価という観点。

このように、cMOOCs の提唱者にとっては、学習は xMOOCs のように、専門家が知識のない人に情報を伝達によって生じるものではなく、参加者たちの間での知識の共有や伝搬によって生じるものなのです。

5.3.2.2 原理から実践へ

cMOOCs では、このような主要な設計原理の特徴がどのように実践されているのか、ひとつひとつ細かく特定していくことには多少の困難を伴います。それは cMOOCs は、発展しながら繰り返し実践されるという事情があるからです。実際、大多数の cMOOCs ではこれまで、MOOC の組織づくりや宣伝、議論の発端となるコンテンツの「結節点」を提供する際、いくらかは「専門家」の手を借りてきているからです。つまり、cMOOCs の設計面での運用は xMOOCs と比べ、未だ発展の途上にあるのです。

しかし、cMOOCs の主要な設計実践としては、ひとまず以下のものが挙げられるでしょう。

  • ソーシャル・メディアの利用:多くの cMOOCs は組織が運営しているわけでも支援しているわけでもありませんので、組織で共有されているプラットフォームではなく、より緩やかに「繋がる」ことができるツールやメディアを現在利用しています。含まれるのは単純なオンライン登録システムや、Blackboard Collaborate や Adobe Connect のようなWeb会議ツール、ストリーミング動画や音声ファイル、ブログ、Wiki、Moodle や Canvas、Twitter、LinkedIn、Facebook といった「オープンな」学習管理システム(LMS)です。これらを用いることで参加者は各自の貢献を共有することができます。実際、新しいアプリやソーシャル・メディア・ツールが開発されると cMOOCs はそれらを組み込んでいく傾向にあります。このようなツールはいずれも Webベースのハッシュ・タグやリンク機能で双方向に結合することができるため、参加者はソーシャル・メディアを通じて他の参加者による貢献を共有できるのです。Downes (2014) は一つの cMOOC の中にいる参加者と、その cMOOC 主催者との間のコミュニケーションを円滑に行い、個々人の学習の整理に役立つ「学習パフォーマンス支援システム」(Learning and Performance Support System)について論じています。このように「緩やかに繋がる」ことのできるソーシャル・メディアは cMOOCs の重要な設計実践の一つなのです。
  • 参加者主体で内容を決める:基本的には cMOOC を主催したい人が決める共通の話題がある場合を除き、内容は参加者ら自身が決め、お互いに貢献し合います。この点において cMOOCs は他の実践共同体と極めて類似しています。実際には cMOOC の主催者(その人自身がcMOOC で扱われる話題について専門性を有していることが多いですが)は、まず最初に、議論や討論することになる話題について専門的な知見を持つ人や、その話題を扱う時に注意すべき点を十分に理解している人に、協力を呼びかけることが多いでしょう。その他の参加者は自分なりの貢献の仕方やコミュニケーションの方法を選びます。cMOOCs の中には Wiki やオープン・ソースのオンライン・フォーラムを利用するものもありますが、ブログへの投稿やツイート、あるいは他の参加者のブログ投稿へのコメントといった方法が最も一般的です。全ての参加者の満足という点では、話題に対して何らかの貢献とその共有ができる設計実践が重要な鍵となります。
  • 分散型コミュニケーション:おそらく cMOOCs に馴染みのない人にとって、この点は最も理解しにくい設計実践でしょう。ひょっとすると cMOOCs に参加したことがある人にとっても、難しいかもしれません。何百人、何千人もの参加者が、様々なソーシャル・メディアを通じ、全員が全員に対して何らかの貢献を行うわけですから、参加者の間で無数のやり取りが生まれます。一人の参加者がその全てを追うことは不可能です。その結果、一つの統合的なグループ・ディスカッションよりも、数多くの二者間の対話が発生することになります。たとえ全ての対話が「オープン」になっていたとしても、その対話の存在を知らなければ、他の参加者は自由に参加できるわけではありません。つまりコミュニケーション面での重要な設計実践は、多くの下位要素を持つ自己組織的ネットワークなのです。
  • 評価:cMOOCs には公式な評価というものは存在しません。参加者は肩肘張らないものであったとしても、自分よりも多くの知識を持つ参加者からの回答を求めるかもしれませんが、基本的にはそれぞれの参加者が学んだことが適切なのかどうかを判断するのは参加者自身なのです。

そのため cMOOCs では、主に学習者の自発性に基づいてネットワーク化する手法を用います。学習者はオープンなソーシャル・メディアを通じて相互に繋がり、各自が貢献しながら知識を共有するのです。コンテンツの配信や学習者支援について、あらかじめ決まっている教育課程や、教員ー学習者という正式な関係はありません。参加者は他の参加者による貢献から学び、学習共同体の中で生成されるメタ的な知識に学び、参加者自身が行なった他者への貢献を振り返ることから学びます。このため、関心や実践に基づく学習共同体に見られる数々の特徴を持つことになるのです。

5.3.3 その他のバリエーション

ここまで xMOOCs と cMOOCs の設計について慎重に述べてきました。両者の理念や理論的な違いについては Mackness (2013)Yousef et al. (2014) にも同じような指摘がありますし、cMOOCs のもともとの設計者の一人でもある Downes (2012) 自身も同様に述べています。

しかし、ここで強調しておきたいのは、MOOCs の設計は進化し続けており、多くの変種を生み出しているという点です。Yousef et al. (2014) はこの点について、次のように図示しています。

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from Yousef et al., 2014
図5.3.3 MOOCの設計上の分類(Yousef et al., 2014, Figure 5, p.12より)

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Yousef et al. の用語を使うならば、smOOcs は small open online courses を、bMOOCs はキャンパス内で実施される対面型授業とのブレンド型で利用される MOOCs をそれぞれ表します。

しかし Chauhan (2014) は以下のように、MOOC の教授モデルをさらに細かく分類しています。

  • cMOOCs
  • xMOOCs
  • BOOCs (a big open online course):xMOOC と cMOOC の混合。
  • DOCCs (distributed open collaborative course) :同じ MOOC を共有している17の大学がこれに含まれる。
  • LOOC (little open online course):学費を支払って大学に通っている15〜20人程度の規模の学生に加え、履修登録していない学生も少数までなら受け入れ可能となっている。受講料を支払うことで受講可能である。
  • MOORs (massive open online research):動画講義と教員が指導する学生の調査活動の混合。
  • SPOCs (small, private, online courses):この事例にはハーバード大学法科大学院が挙げられる。同校では4000人の志願者から500人を事前に選抜しており、当該学生たちはハーバードに入学して大学に通っている学生と同じ動画講義を受講する。
  • SMOCs (synchronous massive open online courses):教室で学習者に提供される講義を、履修登録していない学習者にも有料で同時配信する。

Hernandez et al. (2014) は Open University of Portugal が開発した MOOC を iMOOC と呼んでいます。iMOOC は xMOOC や cMOOC の両方を兼ね備え、さらにグループ協働学習や足並みを揃えた指導のような、単位が発行されるオンライン講座にも見られる特徴を備えています。ブリティッシュ・コロンビア大学や、その他の多くの教育機関が開発した MOOCs では、オンライン上の議論や参加者からのコメントを、ボランティアや有償のアシスタント、教員が管理しています。このような MOOCs の設計は単位取得を目指すオンライン講座に近いものですが、誰にでも開かれているという点で異なります。

5.3.4 何が起こっているのか

時が経つに連れて MOOC の設計が進化することは、さほど驚くべきことではありません。この発展には3種類の明確に区別できる段階があるように思われます。

  • 特に MOOCs が登場する前からオンライン上での単位取得が可能だった教育機関では、新しい MOOCs でも、体系的で司会役がいるディスカッション・グループのような優れた実践事例を取り入れ始めているところがあります。(セクション4.4参照)
  • 他の教育機関でも、通常のキャンパス内で行われる授業を学外の学習者に同時配信で開放しようとしています。(実際、Cormier, Downes and Siemens が始めた最初の MOOC はこのようにして生まれました。)
  • さらに、MOOC のオンライン教材やコンテンツを学内の授業と混合した形で提供しようとしている教育機関もあります。

MOOC の設計と、どのように MOOCs が使われるかについての革新的な試みは、今後もきっと続くでしょう。

しかしこのような発展が、MOOCs の定義や目標について、中でも特に大規模性とオープン性について、大きな混乱の種になるかもしれません。もし学外からの参加者が大学で行われている「閉じた」授業に参加するために高額な参加費を支払わなければならない場合、あるいは、学外から参加する前に一定の基準にしたがって選抜されなければならない場合、それは本当にオープンと言えるでしょうか。MOOC という用語が意味するのは、慣例に縛られないオンラインでのあらゆる提供物なのでしょうか。あるいはオンライン上で行われる、あらゆる連続的な教育講座を意味するのでしょうか。例えば SPOC がどのように典型的な連続する教育講座と異なるのか、 LMS ではなく記録された講義を用いること以外では何が異なるのか、なかなか理解できないでしょう。設計面と理念に大きな違いがあるにも関わらず、結局のところオンライン上の授業が全て MOOC と表現されてしまう危険さえあるのです。

このような個々の革新的な試みは、多くは教員個人が主導した結果ではありますが、基本的には歓迎されるでしょう。しかし参加者になろうとしている人々に対して公正を期すのであれば、それらがもたらす結果について注意深く検討する必要があります。MOOCs を設計する教員個々人は、それが教育理念と矛盾していないことを確認し、なぜ従来型のオンライン授業ではなく MOOC を選ぶのかを明確にしなければなりません。これは公的な評価が行われる際には特に重要です。正式には入学していない学習者や、学生として登録されていない者への評価の状況は、明確で一貫している必要があるのです。

キャンパス内で行われている授業と MOOCs を混合することは、さらに大きな混乱を招きます。現在のところ、まず MOOC を構築してから、学内の授業にどう適用できるかを検討するという戦略が採られているようです。しかし設計面からは、まず単位取得が可能な従来型のオンライン授業を構築してから、他の参加者に向けてどのようにオープン化できるかを検討するほうが良い戦略ではないでしょうか。他の戦略としては、コース専用の Wiki や学生ブログのような、オープンなソーシャル・メディアを用いて公式な授業へとアクセスを広げていく方が、本格的な MOOC を構築するよりも良いのかもしれません。

「ブレンド型」のMOOC を実験的に活用しているほとんどの教育機関において、学内の教育に MOOCs 教材を組み込む政策的合意について、現時点ではあまり考えられていないように思われます。仮に MOOC 参加者が、学内で行われている授業の受講生と全く同じ内容を履修しており、評価も全く同じだった場合、その教育機関は首尾よく講座を終えることができた学外から参加している MOOC での受講者に単位や入学許可を与えるのでしょうか。もし認められない場合、それはなぜでしょうか。このような問題を扱った教育機関の理事会を対象とした優れた議論については Green (2013) を参照してください。

さて、MOOC の発展の中には、どうやらオープン型の学習に関して政策的に手つかずのままになっているものがあるようです。いずれどこかの時点で教育機関はオープン型の学習に関して、明確で首尾一貫した戦略を打ち立てる必要があるでしょう。そこには、どのように提供されるのがベストなのか、どのようにすれば公的な学習と相互互換できるのか、どこまでオープン型の学習は教育機関の財政上の制約に対応できるのか、そして MOOCs と他のオープン教育リソース(OERs)と単位取得可能な従来型のオンライン授業が目標達成のために一致できる点はどこなのかといった論点が含まれます。この話題については第10章で詳しく扱います。

アクティビティー5.3: MOOC の設計を考える

1. MOOC と呼べるのはどういう場合でしょうか。あるいは呼べないのはどういう場合でしょうか。MOOC に共通する特徴とは何でしょうか。MOOC は今でも役に立つ用語なのでしょうか。

2. 仮にあなたが MOOC を設計するとして、誰をターゲットとするでしょうか。それはどんな種類の MOOC でしょうか。どのような学習評価を行いますか。その MOOC を実施した後、うまくいったことをどのように評価しますか。どのような基準を使いますか。

3. ゼロから MOOC を作るのではなく、あなたの担当する1つ以上の授業をこれまで以上にオープンにする方法について何か思いつくことはありますか。MOOC と比較してその方法にはどのような長所と短所があるでしょうか。

参考文献

Chauhan, A. (2014) Massive Open Online Courses (MOOCS): Emerging Trends in Assessment and Accreditation Digital Education Review, No. 25

Downes, S. (2012) Massively Open Online Courses are here to stay, Stephen’s Web, July 20

Downes, S. (2014) The MOOC of One, Valencia, Spain, March 10

Green, K. (2013) Mission, money and MOOCs Association of Governing Boards Trusteeship, No. 1, Volume 21

Hernandez, R. et al. (2014) Promoting engagement in MOOCs through social collaboration Oxford UK: Proceedings of the 8th EDEN Research Workshop

Mackness, J. (2013) cMOOCs and xMOOCs – key differences, Jenny Mackness, October 22

Yousef, A. et al. (2014) MOOCs: A Review of the State-of-the-Art Proceedings of 6th International Conference on Computer Supported Education – CSEDU 2014, Barcelona, Spain

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