第10章 オープン・エデュケーションの動向
この章の目的
この章を読み終えると、以下のことを判断できるようになります。
- オープン・ラーニングの発展によって、あなたのインストラクターとしての役割がどのように変化するか。
- いつ自身で教材を作るべきか。いつオープン教育リソースを使うべきか。
- 一度作成したデジタル素材を最大限に活用する方法。
この章で扱う内容
- シナリオG: 流域管理
- 10.1 オープン・ラーニング
- 10.2 オープン教育リソース(OER)
- 10.3 オープン・テキストブック、オープン・リサーチ、オープン・データ
- 10.4 コースや専攻プログラム設計にとっての「オープン」の意味:パラダイム・シフトにつながるのか
加えて、この章には以下のアクティビティーが含まれています。
- アクティビティー10.1 中等後教育への参加は誰に対しても完全にオープンであるべきか
- アクティビティー10.2 OER に関する決定
- アクティビティー10.3 他のオープンリソースの利用
- アクティビティー10.4 あなた自身のシナリオを作成しましょう
重要ポイント
- オープン教育リソース (OER) には多くの利点がありますが、効果的に活用するためには、適切に設計された豊富な学習環境に組み込まれる必要があります。
- OER、オープン・テキストブック、オープンリサーチ,オープンデータの利用可能性の上昇は、将来的にはほとんど全ての学術コンテンツが公開され、インターネットを介して自由にアクセスできるようになることを意味します。
- その結果、学生はコンテンツ自体の取得ではなく、デジタル時代に必要とされるスキルの習得に対してサポートができる機関にますます注目するようになります。これは、教員の役割とコースの設計に大きな影響を与えます。
- OER やその他の形のオープンエデュケーションは、学習サービスのモジュール化の促進や分離につながります。これはデジタル化時代における学習者のニーズの多様性の増大に対応するために必要とされることです。
- MOOCs は、質の高い資格が得られる教育を十分に受けられない学習者に教育を提供するという点に関しては、本質的には行き止まりの状態です。 MOOCs の主要な価値は、公式ではない教育の機会を提供し、実践コミュニティを支援することです。
- OER、MOOCs、オープン・テキストブック、その他のデジタル形式のオープン性は、学習機会への参加を拡大するという意味では重要ですが、結局のところ、これらは現在も教育機会への平等な参加を可能とする中心的な基盤である、多額の予算によって整備された公教育の代わりにはならず、あくまで公教育をより高めるものに過ぎません。