第5章 MOOCs

(訳注:第5章では MOOC と MOOCs の両方が出てきます。この違いは英語の単数形・複数形によるもので、原文が Course の意味で使われている場合は MOOC、Courses の意味で使われている場合は MOOCs と訳し分けていますが、日本語では単複の区別がありませんので、どちらもほぼ同じものを指すと考えていただいて結構です。)

この章の目的

Massive, Open, Online Courses(大規模・オープン・オンライン・コース、MOOCs)は、高等教育のあらゆるテクノロジーの中で最も破壊的であり、それゆえ最も物議を醸しています。

この章を読み終わると、読者は

  • 様々な種類の MOOCs の違い、そして MOOCs とその他の形態によるオープン学習やオンライン学習の違いについて理解できます。
  • 自分自身の MOOC を開発すべきかどうか、そしてどのような種類の MOOC にすべきかを決めることができます。
  • 自分の属する組織の執行部や経営陣に MOOCs に投資すべきかどうかを助言できます。
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この章で扱う内容

この章では下記の項目について扱います。

加えて、この章には以下のアクティビティーが含まれています。

  • アクティビティー5.3 MOOCs の設計を考える
  • アクティビティー5.4 MOOCs の長所と短所を検証する
  • アクティビティー5.6 MOOCs の戦略を練る

重要ポイント

  1. MOOCs の登場により、あらゆる高等教育機関はオンライン教育の戦略とオープン・エデュケーションへの取り組み方の両方について、注意深く検討せざるを得なくなりました。
  2. MOOCs はオンライン学習の一形態でもオープン教育リソースの一形態でもありません。MOOCs にはどのような長所や短所があるのか、オンライン学習やオープン性をめぐる全体的な文脈の中に位置づけて考えることが重要です。
  3. MOOCs の設計には目的や考え方が反映されている大きな違いがあるため、一様ではありません。
  4. 現在の MOOCs には、深い学びや変容する学び、つまりデジタル時代に必要とされる高度な知識や技能の習得を促進する上で、大きな構造上の限界があります。
  5. MOOCs はどちらかと言えば、まだ成熟の初期段階にあります。MOOCs の持つ強みと弱みがよりはっきりし、設計を改善するノウハウが蓄積されれば、高等教育をめぐる学習環境の中で MOOCs は今よりも重要な地位を占めることになるでしょう。
  6. MOOCs は大規模講義のような従来の教育スタイルの一部に取って代わる役割を十分に果たしうるでしょう。しかし MOOCs は、従来の教授法を補ったり代わりとなったりする重要な役割を持ち続ける思われます。MOOCs は教育への変革をせまる重要な要素であり、今後もそうあり続けるでしょうが、MOOCs そのものは高等教育にかかる高いコストを解決するものではありません。
  7. おそらく MOOCs の将来における最大の価値は、小さな地域社会でのアクションを通じて、大きな地球規模の問題に取り組もうとする手段を提供することでしょう。

ライセンス

クリエイティブ・コモンズ 表示-非営利 4.0 国際 ライセンスのアイコン

Copyright © 2020 『日本語版』, 2015 Anthony William (Tony) Batesの「デジタル時代の教育」は、特に断りのない限り、クリエイティブ・コモンズ 表示-非営利 4.0 国際 ライセンスに規定される著作権利用許諾条件。

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