17 ステノ婆ちゃん ー ともに過ごした一年 Suteno Huci — One year with her
This story gives the background information about Keira Tomoko and why she decided to spend a year with an Ainu elder learning about her heritage and the Ainu way of life. The level is lower intermediate.
読む前に、単語を覚えましょう。
本文を読みましょう。
一九四七年、白老の漁師の家に生まれ、中学校を卒業するまでそこで暮らした私は、アイヌの家庭に育ちながら、アイヌの習慣や言葉に全くと言っていいほど触れることなく成長しました。それは両親の子供時代というのが同化政策の仕上げとでも言うべき時代で、「これからはシャモ(和人)の時代だから、アイヌのことは知らなくてもいい。1日も早く、立派な日本人になりきれ」と、父も母も言葉や習慣を一切教えられなかったためです。
親や周囲からアイヌについて何かを学ぶということもなく育った私が、「アイヌって何だ」と疑問を持ち、アイヌのことを知りたくなったのは、就職して都会で暮らすようになってからでした。そして、アイヌについてあまりにも無知で偏見に満ちた周りの状況に耐えられず、「せめて私なりにアイヌのことを正しく知ってもらおう」と白老に戻り、観光施設ポロト・コタンで働きだしたのが二十歳のころです。二年間、踊り子として働きながら、観光を通してアイヌの状況を知ってもらいたいという願いは、結局、空振りに終わってしまいました。しかし、この時、静内から働きに来ていた山田ハナコ・フチ(婆ちゃん)と出会い、そして一緒に過ごした時間は、私にとって大きな意味を持つことになったのです。
「アイヌって、こんなふうに感じるんだ」「アイヌの女は、こんなふうに考えるんだ」ということを、生まれて初めて私は知ることができました。
計良智子, フチの伝えるこころーアイヌの女の四季 p. 11
漢字を練習しましょう。
聞きましょう。
ゆっくり
しらおい Shiraoi - name of place in Hokkaido
りょうし fisherman
ちゅうがっこう middle school
そつぎょう graduate
かてい household/family
そだつ (そだった、そだち) to be raised, brought up, grown,
しゅうかん customs ; routine
ことば language; word
まったく not at all
せいちょう growing up, development, growth
りょうしん parents
こどもじだい childhood
どうかせいさく assimilation / integration policy
しあげ final phase; finishing touches
じだい era
わじん non-Ainu Japanese people
りっぱ splendid, important
にほんじん Japanese person
ちち father
はは mother
いっさい all/everything
しゅうい surroundings; people around you
まなぶ to learn
ぎもん question
しゅうしょく to start working, get a job
とかい big city
くらす(くらし) to live, reside
むち ignorant
へんけん prejudice
じょうきょう state/situation
たえ(る) to endure
かんこうしせつ tourist facility
はたらき working
おどりこ dancer
かんこう tourism
けっきょく after all
からぶり swing and miss ; end in failure
しずない Shizunai - name of place in Hokkaido
きた (くる、きます) to come
ばあちゃん grandmother
であい encounter/meet
いっしょ together
すごす (すごせた、すごした)to spend/pass time
いみ meaning
かんじる(かんじて) to feel
かんがえる to think